やあ、同志よ私だ元気にしているかい?
資本主義の囚人シアンだ
てめーは誰だって言う奴は、
ファイル00_身も心も死んでいた【プロローグ】から過去ログを参照してくれ
今日は、前回の話の続きをしよう。
目 次
店舗運営の失敗 間取りは経営の肝
今日は新しい店舗が出来てからの話だ。
さっそく店の詳細をお伝えしよう
・土地は約200坪
・敷地の1/4は芝とツツジ垣根のある庭に駐車場が6台
店舗間取りは
・6人掛けが3テーブル=18人
・2人掛けが3テーブル=6人
・中央に1つ大きな12人掛けテーブル=12人
・カウンター5席
=全41席
バイトは雇っていない
間取りを聞いてピントくる人は、経営視点をお持ちだ。
上記の間取りどう考えてもバランスがとれていないのだ。
地方の店舗駐車場は座席数の1/2確保が必須!
順番に説明していこう
地方は車社会で当然来店する客の95%以上が車で来る。
しかし席数が40席あるにも関わらず駐車場が6台しかないのだ。
乗り合わせで来たとしても最大で30人がいい所。(←現実的ではない)
収容率などまるで考えていないようだ。
足りなければ周辺に貸駐車場もあるので確保すればいいのだが、経営する男は駐車場を借りること=ムダという認識だ。
そんなだから駐車場はしょっちゅう満車になるが・・・店内はガラガラという現象が起こっていた。
お客様が都合よく徒歩で来てくれるはずもない。
車で来るお客様は、店の駐車場がいっぱいだと入店を諦める。
そのお客様は駐車場が広い、別の店に移動するだけだ。
車社会とはそういう特性がある。
自分がお客様の感覚を想像すれば容易に分かることだ。
運良く徒歩1分のところに大型スーパーがありその駐車場に停めて来る人もいたが、お客様に無断駐車をさせるというマジありえない話である。
田舎だからか土地柄お咎めないのが凄いとしか言いようがなかった。(多分スーパー側が把握してなかっただけだろう)
話は続くが、間取りだけではない。
満席時の動線と料理提供時間を把握する
休日となると満席になることもしばしばあった。
お客にとっても休日は、どの店もお客が多いのが前提だ。
駐車場がいっぱいでも近所スーパーに車を停めてまで来るお客様も多い。
満席になると40人を超える
その人数を相手に男と母2人では店が回るわけがない。
とどめに出す料理は、どれもこれも手間暇こだわりの強い物ばかりで1人の料理に、約10分~20分ほど掛かるメニューが中心なのだ。
平行作業で15分で5人に料理を提供できるとして
40人に料理が行き渡るのに120分かかる計算だ。
満席時は常には料理を作り続け無ければ行き渡らず、接客の質と客単価が低下することが安易に想像できる。
料理原価と客単価は収益に直結する
料理の味にこだわるあまり料理原価が50%を超えていた。
通常は、料理原価率30%以下に抑えるのがセオリーと言われている。
これは借金のなかった前店の感覚のままである。職人気質も困ったものなのだ。
カフェである以上飲み物だけのお客様も多いから客単価は、一人1,000円にも満たない。
参考にシミュレーション計算してみよう
1日の営業時間8時間で1人のお客様が2時間い続けた場合。
8時間÷2時間=4回転
駐車場6台×平均来店人数2人 = 12人(カフェは殆どのお客様が2人1組で来店すると仮定)
平均席数12席×平均客単価900円×回転率4回 = 売上4万3千200円
売上4万3千200円×原価率50% = 粗利2万1千600円
2万1千600円×25営業日
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見込み粗利54万円。
粗利だから、実際は波がありもっと少ない月もあっただろう。
この中から自分たちの生活費や店舗ローン、店舗の水光熱費と原材料費などを支払わなければならない。
店の特色を出すならメニューを絞ろう
極めつけはメニューの種類が60種類を超えていた。
メニューが多すぎるのだ。
女性のお客様は、多数のメニューに気を取られ、中々注文メニューが決まらない
時には入店後メニューを決めるのに30分もの時間が掛かるお客様もいた。(半分は友人とのオシャベリの時間だったが)
またメニューの分だけ在庫が増えるし、食材だから日持ちしない。
つまり管理が行き届かず腐ってロスが多くなる。
ちょっと胸やけがしてきたが、まだまだ続く・・・
品質の良い料理を提供したいなら調理スペースは確保しよう
この店、
店舗スペースと調理スペースの割合なのだが
客席側3に対して厨房1なのである。
通常、厨房と客席側の面積は同じ広さあるいは厨房の方が広くとられることが多い
それにはちゃんとした理由があるのだ。
メニュー数の分、調理器・食材など収める場所が必要だし
複数同時に調理できるスペースがいる。
60種類ものメニューに対応するため、物が溢れどうしようもなくなり
苦肉の策で隣地境の塀ギリギリに自分達で小屋を建てそこに物資を収めたのだが・・・
それは木造の耐火基準を満たさない簡易的なものだった。
・・・明らかな違法建築である。
今思えば、もう意図的にやっていたのではないかと疑いたくなる。
この程度の経営者だが前の店舗で黒字経営が出来ていた。
まあ前の店舗では多額の借金はなかったから返済に追われることもなく、
その分料理に手間とコストをかけてもやっていけたのだ。
その当時は味にうるさい職人気質な男の料理に、ファンは多く店は繁盛していた。
問題はそれまでの経済観念のまま多額の借金をして新店舗へ移ったことである。
この後移転2年目に壊滅的な打撃を受けることになるのだが、それはまた次の機会に話そう。