やあ、同志よ私だ元気にしているかい?

 

資本主義の囚人シアンだ

 

あんたは誰かって?

 

File.00_身も心も死んでいた【プロローグ】から過去ログを参照してくれ

 

 

今日は、前回の話の続きをしよう。

 

税金で資金ショートして閉店した後の話だ。

 

 

金はシビアに。決して情に流されてはいけない。

 

男は店舗を売りに出した

 

半年後、店舗は運良く売れた

 

しかし売却金額は2000万にも満たなかった

 

たった5年で建物と機材の価値は1/3以下だ。

 

その売却で得た金も融資の返済仕入代金の滞納分を支払うと全てが消えた。

 

売却益はゼロである。

 

 

収入源を失って、借家の家賃を支払えなくなった男は住む家を追い出されそうになった。
それは男と一緒に暮らしていた私の母と妹も同様で、一家で路頭に迷う寸前

 

またしても私たちに泣きついてきた。

 

今まで例のカードローン以外は借金がなくクレジットカードも使わず生活していた私達には、まだ金銭的な信用力がある。つまりローンを組むことができた。

 

支払を滞納しまくって金銭的な信用が無くなった男はもう金を貸してくれるのは闇金くらいしかないだろう。そこで私の信用力(与信)に目をつけたのだ。

 

男は言った

 

「私が何としてもお金はこちらで払うからボロ屋でいい、家を買ってくれ。母と妹の生活のため」だと

 

 

この男が私に大金をせがむのは3度目・・・情けない話である。

 

恥ずかしいがこの時もに流された

 

 

借金をして、金を貸したのである。

 

 

無知は罪、情弱は食われる運命を知れ

 

「こんな男であっても、母が選んだ人間だ。母の老後、独り寂しくさせるのはしのびない・・・」

 

自分に突如ふりかかった借金を正当化するために、私は都合のいいように自分に言い聞かせた。

 

家族を守らないと行けなくなった私は、この後に起こるリスクを見ないふりをした。

 

 

嫁も同意の上での借金だ、大丈夫・・・きっとなんとかなる。。

 

私も嫁も詐欺師並みに口の上手い男に喰いものにされていた。

 

人間の精神とはかくも弱いものでる。

 

 

とんでもないボロ物件を高額で購入

 

この時私達は不動産の経験がなかったし、突然のことだったから学ぶ時間も許されなかった。でも早く何とかしないと母と妹が路頭に迷うのだ。

 

男の知人から物件を紹介された。

 

その物件は町からは30キロ離れ

 

人里も山の端にある築50年を超える木造平屋の一軒家

 

良く言えば古民家・・・いやいや、どう見てもボロ物件

 

 

当然コンビニやスーパーなんてものは近くに無い。

 

それどころか自販機すら近くにない。完全に自動車がなければ生活できない地域だ。

 

 

不動産の勉強をした今だから言えることだが土地建物の価値なんてゼロに等しい、たとえ貰っても維持管理に金も手間もかかる物件だ。

 

 

当時、男はのどうしてもこの家が欲しかった。なんでも懇意にしている寺の和尚この家は良い家だと言ったという。

 

家を買わずとも、安いアパートなんぞそこらじゅうにある田舎だ。

 

なのに後に及んで「家に手を入れられない賃貸は嫌だ」というのだ。

 

賃貸は50歳後半をになると入居を嫌がられるというのも理由だと言っていた。

 

母もそれに異論はなく、早朝から深夜まで忙しく働く私の代わりにいつの間にか男は相手方と交渉をしていた。

 

この男に交渉を任せるのは少々の不安が心をかすめたが週6日~7日、早朝から深夜まで仕事に忙殺されていた私は、思考することを止めていた。

 

口の上手い男のことだからしっかり値切って物件を選ぶだろうという根拠のない思いもあった。

 

なんだかんだ言っているが、つらい時期に母を支えてくれのはこの男だった。

 

この男を嫌いになりきれない自分が生み出した甘えが自分自身の首を絞めることになった。

 

男は交渉相手の言い値で建物土地を買う約束をしていたのだ。

 

 

不動産取引とは交渉のやり方次第で天地の差が出る。

 

土地建物合わせて160万円

 

さらに相手方には持て余した田んぼが2反あり、それも買ってほしいという。

 

男はここでも欲を出した。「自分たちが食う分だけでいい、農業をしたい。そうすれば食には困らなくなるから」というのが言い分だった。喫茶店の失敗からそう思ったのだろうが・・・

田んぼは180万円

 

合計340万円・・・

 

 

立地を考えたら100万円でも高すぎる。

 

だが、そのことに私は気づかなかった。

 

 

不動産のことをちょっと齧った今、考えたら常識であることも

 

当時の私のように無知であれば正しい判断が出来ないのだ。

 

 

無知は罪である

 

情弱は喰われる典型的なパターンにハマってしまった。

 

 

契約や大きな金額を交渉する時は、一旦持ち帰って『自分自身で』じっくり見る事だ。分からければ2~3万円支払ってでも第三者の専門家にアドバイスをもらうことだ。

 

リスクを負う者自身が、自分で自身ですべてのリスクを洗い出し、その全てにどう対応できるの考え抜き、購入を決めなくてはいけない。

 

 

「30年一括借り上げ」や「女性専用シェアハウス」などの「サブリース問題」は、

 

この「リスクを負う者自身が考えるべき事」を

 

安易に外部にアウトソーシングしてしまったツケに他ならない。

 

 

詐欺まがいの業者が責められるのは当然だが、

 

「自分でリスクを考えることを怠った」ことはハメられた側の責だ。

 

現に最悪のリスクを負わされ、そのツケを払わされるという状況だ。

 

もちろん私も言い訳できない。

 

自分の名前で契約した借金については誰でもない「自分」が責任を持って考えないといけない。

 

もちろんこれは苦い経験からの最大の学びである。

 

 

金の切れ目と縁の切れ目

 

このボロ物件を買うにあたって、

 

どこからか金をかりなければいけない。

 

これも男が率先して色々と動いていた。

 

ここでも無知な男と私は、まず住宅ローンに申し込んだ。

 

 

融資について見識のある方なら、すでにこの行動の無知さをお分かりだろう。

 

 

銀行から見たら360万円なんぞ融資額面が小さい。

 

金利がきわめて低いく返済期間が長期間にわたる住宅ローンで融資しても銀行は何の旨みもない。

 

住宅ローンというのは、銀行にとっては薄利多売の商品なのだ。量がなければ儲けが出ない。

 

 

何の付合いもない人間から「私にだけ特別に格別の条件で融資してください」と言われたようなものである。融資を通すわけない。

 

私も男もそんな金融事情もつゆほども知らず、融資に落ちたことに落胆した。

 

でもどうにかして家を買わねばと切羽つまっていた私たちは

 

仕方なく、住宅ローンよりはるかに金利が高く返済期間が短い「リフォームローン」

 

物件価格340万円 + 諸費用20万円 = 360万円 を借りることになった。

 

融資枠はギリギリだった。

 

返済期間は8年と短い

 

月々にして約45,000円の返済が始まった。

 

年利4.93%、返済総額は約436万円

 

しかし返済開始早々に、男は滞納を始めた

 

収入が無いとふざけた事を言いわけにして。

 

アルバイトしてでも支払う約束など釣った魚には果たす義理もない様子だった。

 

私は自分の信用に関わる債務超過を起こしたくないために、結局は私が払らわされる羽目になった。

 

普通の思考力があればこうなることは火を見るより明らかに分かっていたことのように思うだろう。

 

その通りだ

 

人間には「情」「欲」、「怠慢」という性質がある。

 

詐欺師はこれを喰いものにするように、この男も私の弱さを喰らったのだ。

 

せめて、「迷惑をかける。申し訳ない」と、頭を下げ謝罪するならまだ人として許せたかもしれない。

 

だがもう限界だった。

 

仏の顔3度までというが、もう完全に私にとって男は家族ではなくなった。

 

元から血の繋がらない義父だったが、家族だからと親身になってこのザマだ。

 

いつか母がこの男を見限ったとき、たとえ私に泣きついてきても知ったことではない。

 

この男が野たれ死のが知ったことか。

 

これが私がこの男を見限った瞬間だった。

 

 

決 別

 

仕事で精神をすり減らし、男に「情」「怠慢」を喰いものにされ金銭が飛んだ。

 

家庭もボロボロになり新婚だというのに嫁との口論も絶えなかった。

 

ただ、嫁との関係は不思議といつも建設的な話に落ち着く。私にとっては貴重な人間だ。

 

口論の末私達は、1つの結論に行き着いた。

 

その答えは

「自分達を守る為に地元を出よう」ということだった。

 

義理も人情も信用も無くしたこの男と縁を切るための決断である

 

人生の前半戦で苦い経験をしたが、

 

「学び」という一点に関しては良い人生経験だと思っている。

 

というか3回も金を奪われれば嫌でも学ぶ。

 

「1回目で学べよというツッコみは諸事情により受け付けないw

ここで私は、ようやくこの男の哀しい生き方に気が付いた。

 

昔から他人の金を食い物にして親戚中からとうに見放されていたのではないか・・・だから四国の親族との縁が薄いのではないか・・・ということに。

 

7年経った今もなお私は借金を払い続けている。

 

今となっては、もうどうでもいい

 

この7年の間にもさまざまなことがあったが、ただひとつ「本を読み学ぶこと」だけは続けてきた。

 

今、自由に向けて知識の準備が整った。

 

あとは得た知識で愚直に実行するのみ

 

残りの借金を支払いながら、それでもできることはある。

 

続く・・・